ナカザト様
顧客が使用する製品情報 画面を見ながら電話で確認
お客さんにもパソコン解放、時々は店内で講習会も
地域電器店がパソコンで大事な顧客の情報を管理することは、ごく当たり前になった。日常の電話応対はひとりひとりのお客の情報を画面で見ながらきめ細かな対応ができる。情報データを有効に活用するIT化と並行してパソコン販売を伸ばしている担い手の多くは2世の若手経営者たちだ。都内目黒区の一角に創業42年目を迎えるナカザト。創業者の中里武社長は官公庁施設の空調工事など付加価値の高い仕事で事業を拡大してきた。いま、長男の俊彦さんが店長をつとめるソニーショップ『フィルアップ』がデジタルAVや情報関連商品で新たな顧客をつかみつつある。そのツールのひとつが『HOKUHOKU』だ。
NECからパソコンといっしょに勧められたHOKUHOKU
全国におおよそ5万店ある地域電器店のうち、後継者がいる店は2割強といわれる。後継者難は電器店に限らない。小売業を営む商店に共通した悩みだ。そんな中でナカザトは子息2人が家業を継いでいる。
目黒区のほぼ中央に祐天寺がある。東急東横線の駅名にもなっている同寺と背中あわせの住宅街に地域電器店が2店並んでいる。いずれもナカザトの店。右手にある三菱電機などの看板を掲げた方が本店の「でんきのナカザト」。左手のソニーショップが「HOKUHOKU」を扱う俊彦氏が店長をつとめるフィルアップだ。
フィルアップはソニーショップになってからまだ2年と日が浅い。開店したのは15年程前。ちょうど俊彦さんが家業に就いた頃だ。「もともと家業を継ごうという強い意志があったわけではなかった。高校も普通科。卒業してから1年ほどふらついた」と俊彦さん。
しかし、子どもは親の背中を見て育つもの。2軒長屋の一角で3坪の店から商売を始めた中里社長が目指したのは「商品を売るだけの商売」ではなく、「工事を伴う付加価値の高い商売」だった。
今年5月期の決算も粗利率は30%台後半という高さ。しっかりした事業方針を掲げる父親に2人の子どもが跡を継いだ。俊彦さんは一般家庭向けのフィルアップ、工事部門は洋さんと明確に分けている。
「HOKUHOKU」は俊彦さんが担当するフィルアップオープンの頃から使い始めた。NECからパソコンといっしょに勧められたのがきっかけ。顧客台帳と購入台帳に記載されていた情報を一気に入力した。
現在、工事部門の得意客管理は別にして一般家庭の販売記録、営業記録を管理している。日々の情報は「どこまで入力したかわからなくなる」ので1週間まとめて入力する。
製品リコール時にお客からの信頼増すパソコン管理
日常に役立つのは、電話の応対。顧客が使っている製品の情報を画面で確認しながら的確な判断が下せる。また、製品に不具合が見つかってリコールする時、お客からの信頼が増す。年末など売り出しの時の見込み客リストやDM発送に活用していることはいうまでもない。
ただ、購入した金額や頻度による顧客のランク区分けは、小物も含めた全商品を入力していないこともあり、あまりあてにせずに柔軟に捉えるようにしている。
メールアドレスを200件ほど入力してあるが、「最近は一人で複数のアドレスを持つ人が増え、記入する欄が数行あってもいい」という。
「HOKUHOKU」の導入とともに始まったパソコンはつきに10〜15台販売し、同店の柱の商品に育った。
今、俊彦さんが顧客管理用に接客カウンターで使っているパソコンは「HOKUHOKU」がWindows対応になってから2台目。以前のシステムは来店客に開放している。
「はじめ、顧客管理用のパソコンをお客にも使ってもらっていた。開放する以上、覚悟はしていたが、お客は予想外の扱いをする。結局、別々にした。」
時々は店内でパソコンの手ほどきをする講習も開いている。来店する人は中学生から高齢者まで、老若男女さまざま。パソコン需要が前年割れしている中でも、何とか前年キープしているのはそうしたきめ細かさの賜にほかならない。
昨年夏には「Webの時代にホームページをもっていない電器店では様にならない」とホームページを立ち上げた。1年間でヒットした数は4600件余り。月400件ほどはまずまずだろう。
「Webで反応してくるお客は価格目当てのケースが多い。東京以北は市場の乱れが激しいせいか、反応は圧倒的に関西以西」。
ホームページはIT時代に生きる地域電器店としての看板のようなものという俊彦さん。「HOKUHOKU」の活用もごく自然体。ごく当たり前の経営ツールとして定着している。
パソコンを操作する俊彦さん
お客用のシステム
お店紹介 ナカザト
店 主 中里 武 住 所 東京都目黒区目黒 創 業 昭和34年 従 業 員 社長夫妻、長男・俊彦氏(ソニーショップフィルアップ店長)夫妻 二男・洋氏 男性従業員2人の計7人 顧客登録数 2300件 年 商 2億円弱
この記事は雑誌「電気店」2001年11月号に掲載されたものです。