電化センタージャック様
顧客から固定化までふる稼動
店売り主体で「攻めの営業」を展開
AVプロショップとして、業務用機器のユーザーは県外にも数多くいるJACだが、日常の販売活動はやはりしないが中心。JR藤沢駅から徒歩数分の商店街に位置し、店売り比率がほぼ100%だという。
応対レベルの均一化と販促効率化に不可欠だ
AVプロショップとして、業務用機器のユーザーは県外にも数多くいるJACだが、日常の販売活動はやはりしないが中心。JR藤沢駅から徒歩数分の商店街に位置し、店売り比率がほぼ100%だという。
JACが顧客管理DBを導入したのは、9年前にさかのぼる。当初は別のソフトを利用していたが、1年ほどしてバロンのソフトを購入。現在は「HOKUHOKU」のWindows版でDB化を図っている。
顧客管理DB導入の狙いについて、同店の金井文夫社長はこう語る。
「まず、従業員全員が均一レベルで応対できるようにすること。誰が接客しても、その顧客の保有商品や売掛の状況などが分かるようにしたかった。
また、販促手段としてDMを活用しているが、同じお客に年中送っても意味がない。
販促の効果率を考えれば、個別のお客の求めている商品、趣味・嗜好などが、すぐに誰にでもわかるようにしておく必要がある。
●図 顧客DB構築と活用のポイント
これらは顧客台帳(ペーパー情報)をベースにしても、検索に時間がかかるし、修理依頼などでも即座に対応できない。もともとPCに強かったわけでもなく、営業効果をあげるという目的があり、必要に迫られて導入した」。
DB登録数は8,600名、メンテ目的のDMも
「顧客DBは活用すればするほど、その情報価値は減っていく。活用の仕方も大切ではあるが、むしろDBに入れる情報の質と量をいかに上げていくかが重要だ」と金井社長は強調する。
当然、活用の前に構築があり、その一連のサイクルをどのように持っていくか、情報密度を高めるかが成功のカギといえそうだ(図参照)。
JACは店売り主体の為、顧客情報の収集は後述する勉強会やセミナーといったイベントでのアンケートを除くと、ほとんどが店頭でも接客時である。
まず、どんな小物の購入であっても伝票をあげる場合は、全て入力する。それに、接客時の会話で聞き出した情報を追加入力していくというのが基本パターンだ。
「特別決まった内容、項目で追加情報を収集するようには指示していない。
個々の従業員が『これは後からつかえるかもしれない』と思うものは、それこそ全く関係なさそうな趣味でも何でも入力するようにしている。
これでは中身が雑多になりすぎると思われるかもしれないが、今は使えないにしても、後々活用できる情報もある」。
例えば顧客の職業もそうだ。最初は1人でもDBを構築していくうちに『開業医』で検索できる人が複数名になれば、その段階で開業医向けに提案・訴求する商品とかも見えてくる。
このようにしてDBに登録した顧客数は、現在8,600名強。いわゆるフリ客であっても、情報があれば全て入力してあり、それも極力データを削除しないようにしている。
ただし、即半に活用する段階でDMの「無駄打ち」を避けるためにもデータのメンテナンスは欠かせない。
JACでは1ヶ月に3,4回DMを打っているが、大別すると、
店からの情報発信ではあるが、顧客の動向や半のぬを探ることに重点を置いたもの
新商品などの情報発信で、実売を狙うもの
に分けられる。
は夏のボーナスや年末売出しを内容にして年2回程度、数千件を対象に実施。
来店(接触)頻度が低い顧客が中心で、店の存在を意識してもらい来店を促すと同時に「転居でDMが戻ってきた」「来店が多くなった」などの反応度合いによって、顧客ランクの見直しを図っていく。
店の趣味や関心の移り具合を素早く反応する
実際に販促活用では のDMがメーンになるが、高いヒット率をキープするためにも顧客管理DBを活用し、ターゲットを絞り込んでいく。
そのため1回あたりのDM発送は、話題性のある新商品の提案でも200枚程度、少ない場合は50枚といった数だ。
ターゲットの絞込みは、DBソフトにある、
顧客の「ランク」による検索
保有商品からの検索
顧客の趣味・嗜好などを入力した「備考」
などで行う。
について、JACは9ランクに分類し、上得意客である「ランク1」が約100名、高額の購入はないものの頻繁に来店がある「ランク2」「ランク3」を含めると約2,000名。これが実稼動顧客ということになる。
「高い商品は購入してくれないが、ちょくちょく来店して接触のあるお客の方が、店として提案・訴求がしやすい」ため、購入金額を参考にしつつも、むしろ来店頻度を重視して分類を行っているという。
この顧客分類は販促を打つ際の目安の1つではあるが、むしろ や の方が有効なデータになっていく。それもDBの検索・分析に基づきDMなどの販促策を企画し、実行するのは金井社長だけではない。
一定の年間スケジュール以外に、実力のあるベテラン従業員が個別にパソコンを操作し「このターゲットに、この商品はいける」と判断したものは、その都度積極的にDMを打つ。
これが同店のDB活用面での強みともいえそうで、個々に作業がしやすいように今春から店内にLANを構築しているほど。
具体的には「高画質・高機能のCTVやVTRを保有し、BSもみているお客だったら、まず『メディア好き』と判断がつく。それでDVも購入してもらえたら、自分で映像を作ろうしているなと分かる。
それならば、次は編集機器、あるいは画像加工のためのパソコンといった提案が出来る。
さらに興味の移り具合も、データ検索で見えてくる。DVを購入して頻繁に使うおきゃくだったら、高画質のCTV、VTRを勧めていく。
カメラは保有しているが、あまり使っていない。それよりも映画鑑賞に興味があるならば、以前はLD、今はDVDを提案したり、デジタルCSの話題を持っていく」(同前)という。
このような方法によって、端的に効果が見えているのがパソコンだ。
既にソニーの「VAIO」シリーズは、100台近く販売。そのほとんどがPCユーザーの買換えではなく、新規購入だという。
そうした購入客のフォローと新たな販促を目的に、DVノンリニア編集などの勉強会やセミナーをつきに1,2回実施。完全予約制で1回に20名程度に絞って行っているが、毎回入りきれないほどだという。
金井文夫社長
この記事は雑誌「技術営業」1998年9月号に掲載されたものです。